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アスペルガーの恋愛論

アスペルガーは受け身の恋愛しかできない。理由は二つある。

 

一つ目は人の気持ちを読み取ることができないからだ。アスペルガーは相手が喜んでいる、怒っているという状態は理解できる(アスペルガーに人間的な感情がないわけではないので)が、相手の気持ちを読み取ることが極端に苦手である。私はよく相手が何を考えているのかわからなくて不安になることが多い。相手が笑っていないと自分のことを嫌っているのではないかと思ってしまうからだ。無表情をされると非常に不安になってしまう。

 

私はある人に対して「人の気持ちがわからないのだがどうしたらいいのだろう」と聞いたことがある。その人の答えは「人の気持ちが読み取れる人間なんていない」だった。確かにその通りである。超能力者でもない限りは他人の気持ちをそう簡単に読み取れるはずがない。

 

では、アスペルガーには何が欠落しているのか。私はアスペルガーには感情の「曖昧さ」が欠落しているのではないかと推測する。これはどういうことかというと、「うれしい」か「悲しい」、「幸せ」か「辛い」かの二極しかないのではないかということだ。私は、アスペルガーはおそらくそういった感情の「曖昧さ」を理解できないため、人の気持ちがわからないのではないかと思う。

 

アスペルガーが受け身の恋愛しかできない二つ目の理由は、この「曖昧さ」を許容できないことである。彼らにとっての恋愛感情には、「好き」か「嫌い」か「興味がない」の三つしかないのである。

 

アスペルガーは惚れやすい。というのも、相手が気まぐれで優しくしたとしてもそれを好意として受け取ってしまうからだ。優しくされると、相手が自分のことを好きではないと分かっていたとしても、アスペルガーの他人に対する感情は「好き」「嫌い」「興味がない」の三つしかないため、優しくされて「嫌い」と「興味がない」の二つが消去されると、自分の中ではその人に対する「好き」だけが残る。そういった思考の極端さゆえに惚れやすい。少なくとも私はそうだ。人に少しでも優しくされたら死ぬほど嬉しくなる。自分がこれまであまり優しさに触れてこなかったから惚れやすいのかと思ってきたが、これは自分の感情の極端さからくるのだと気付いた。

 

しかし、これは逆に言えば誰でも好きになるということである。正直なところ、自分の基準の中で「好き」に触れていれば誰でもいい。それ以外に人を区別する基準は、顔、性格(表にハッキリと現れるものだけ)、声、年齢、体型くらいしかない。そうなるといくらでも好きな人間が上がってくる。

 

付き合うには大凡、告白する必要がある。この告白が難関である。惚れた理由は「自分の許容範囲に入っているから」だ。「その人じゃないとダメ」な根拠なんてない。アスペルガーは自分の感情に正直なので滅多に嘘はつかない。嘘をつくことは誠意のないとても失礼なことだと思っている。自分が好きだと思った人に対してそんな誠意のない行動をするわけがない。そうすると、告白の文句は「(なんとなく)好きだから」という風になってくる。「自分の許容範囲内だからです」、なんて言えるわけがない。

 

そうやって告白をして、付き合うかどうかを決めるのは相手の返答である。アスペルガーは相手の返答を「バカ正直」に受け取る。相手が「嫌い」だと答えれば「自分は相手にとって不快な存在である」と考えて関係を一切断つだろう。逆に「好き」だと答えればその人のしてほしいことを素直に実行するだろう。

 

そういった意味で、アスペルガーの恋愛は「受け身」でしかありえないのである。人の感情が分からない(気持ちの曖昧さを理解することができない)ので、相手の感情を機敏に読み取ってそれに対して適切な対応をする、なんてことはできないので、付き合う手段というのは「相手からの告白」か「自分からの告白」になってくる。恋愛という、「互いの曖昧な感情の擦り合わせ」なんてものはハードルが高すぎる。自分が相手に取るべき行動をハッキリさせるために告白する。相手が自分のことを好きなら距離を近づけるし、相手が自分のことを嫌いなら距離を離す。その両極端の選択肢しか彼らは持っていないのである。

 

とまあ、ここまでWikipediaアスペルガーの項目を見て自分の行動をそれに当てはめて自分の行動からアスペルガーの特徴だと思われるところを抜き出して際立ったところをまとめたわけですが。

 

自分自身、好きという感情はよくわかりません。

「相手からの許容」が自分にとっての「好き」に直結している気はしますが、一般的な「好き」「この人じゃないとダメ」というのは自分にはわかりません。

 

しかし逆に、適当にLINEで受け答えをしてそれで付き合うというのは自分には理解できません。それで自分が許容されているのか不安だからです。また、それで誠意を示せているのかという疑問があるからです。

 一般的な人にとっての恋愛とは、そういうテキトウなものなのかもしれないし、「この人じゃないとダメ」という厳格なものなのかもしれません。

僕にはそれはわかりません。

 

逆に、アスペルガーの恋愛感情は非常に激しいものです。

好きになったらもう「好き」という感情しかないのです。

「何をすれば相手が喜んでくれるか」はわからないけどなるべく喜んでほしいと思うわけです。その感情に妥協はありません。

 

しかし、アスペルガーは大概、「自分の思うがまま」「自分のしたいように」人と接して不快に思われることを経験しています。空気が読めないからです。人の感情が分からないからです。だから、自分が好きな人に対して「自分がすべきだと思ったこと」をしては相手を不快に思わせてしまう、と思うわけです。だから、自分がその人のことを大好きだという感情を持っていてもそれは行動に表れません。受け身で「何をしてほしいのか」わかる範囲でしか行動しないのです。それは、彼らなりの好意の表し方なのです。受け手からすると「そっけないな」とおもうかもしれませんが、彼らは独特な個性を自ら抑え込むことに注力しているということを知っていてください。

 

アスペルガーと付き合うコツは、自分の感情を適宜口に出すことです。そうしないと自分が何を考えているのかわかりません。好意ですら、おそらく口に出さなければわかりません。照れて無表情になっていても怒っているように思うかもしれません。何かしてほしくても、それを口にしなければしていいのかわかりません。加えて、適宜相手の感情を聞いてみてほしいのです。おそらく自分の想像とは違うことを考えています。アスペルガーはそういう感情について理解してほしいと思っています。「なぜそんなことを思うのか」と思ったら、それを尋ねてみてください。きっと「自分なりの表現だけど」と前置きして説明してくれるはずです。

 

アスペルガーの長所は思考力と高い合理性です。嘘をつかないことです。考えていることを丁寧に説明してくれることです。曖昧さや不透明さを取り除いてくれることです。正直なところです。自分で「好き」と宣言したら終始それに従って行動してくれることです。普通の人なら煙に巻いていうようなことでもはっきりと言ってくれることです。バカ正直、というか愚直さと素直さと真面目さです。

そういうところを好きになってやってください。

 

 

アスペルガーは、恋愛では、自分が受け入れられるたびにその人に「期待」し、告白なりして距離を詰めた後、付き合うか拒絶されて距離を開けることしかできません。なるべく多くの人がアスペルガーの思考回路について理解してくれれば楽になるのかもしれませんね。

 

それか、「好き」という状態について厳密に定義してくれればアスペルガーにも「恋愛」というものが理解できるのかもしれません。

そういった「恋愛」という曖昧で理解不能なものに苦しむアスペが一人でも減るといいのですが。